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獣医学部動物実験飼育室設計の論点3 [動物実験安全管理]

さて、これまでに指摘された問題点を分類・整理してみます。


A 感染症や遺伝子組換え生物の拡散防止ができているかという問題
A-1 感染症法やカルタヘナ条約など、法令等の遵守ができているか
 実はこれはもっとも判断が難しい部分です。なぜなら、どの部屋で、どの動物を用い、どのような病原体を扱う予定なのかが不明なのと、すべての設計図が公開されているわけではないからです。
 1階の平面図で拡散防止措置が安全性の観点から必要なのは、

     ①図面右上角の「感染実験室」エリア(太い破線囲み)
     ②左上部の「感染実験室」(水生動物用と考えられる。破線なし1室のみ)
     ③右下角の「遺伝子組換え飼育室」(破線なし)
     ④左中央の「飼育室5,6(P2)」および前室(太い破線囲み)
        (註:左下と右中央の「検疫室」も、用途により該当)


と考えられます。しかし封じ込めレベルが明記されているのは④P2エリアのみです。
 ①の前室・更衣室のみ、扉がインターロック仕様(同時に2つが開かない仕組み)であり、これはBSL3の必要要件であることから、この領域はABSL3すなわちBSL3に感染した動物を飼育することを前提に作られていることが考えられます。出典は下記です。(註:「ツイートをサイトに埋め込む」だと、なぜかちゃんと表示されず、このようにしております。この引用の仕方がまずいようでしたらご指摘ください)


https://twitter.com/Nmaru7th/status/904948635867037697


Clipboard3.jpg


するとこの領域には、廊下から飼育室奥に向かって風が流れ(逆向きに空気が流れないように)、かつその排気がHEPAフィルターを介して外気に放出されるような、飼育室を陰圧とする差圧制御が法規上必要です。しかしその設計図が見当たりません。公開された図面上、5階にあるP3実験室にはこの差圧制御の仕様を記載した図面があるのに、1階用の差圧制御の仕様を記載した図面がないのです。図面リストには、1階の空調を記載した図面(未公開)がありますが、一般空調と並べて1階に必要な差圧制御のすべて(注:前後室を備えたSPFエリアにも本来あるはず。後述)が1枚に記入できるわけはないので、これは該当しないでしょう。
 だとすると、このエリアはABSL3ではなくABSL2(封じ込めレベルP2A)仕様なのかもしれません。しかし、ABSL3を扱える可能性のある場所は、獣医学部棟全体のなかでこのエリアしかありませんから、高病原性鳥インフルエンザなど、国家戦略特区の審査の過程で対応が示唆されていた、人畜共通感染症への現場対応や研究が行えない、ということになります。これは、文科省や特区における審査に影響し、学校新設が認可されない、という結果に至る可能性があります。しかし、感染症法違反にはならないでしょう。


②は前室なしに同じ水系の飼育室を通ってのみ外界とつながっているので、A-3で後述する通り動線が不適切ですが、法令違反かと言われると、扱う感染性病原体による、ということになります。 

 その他には、凍結受精卵などを保管する液体窒素を用いる保管庫、ガス滅菌装置やそれ用の試薬など毒劇物の保管場所には換気の必要などの法的規制がありますが、設計図上、これらの設備の記載がないようです。それなりの規模でこれらの設備を置くと、法令違反になる可能性もあります。一方で置かなければ、法令違反にはならないが、ろくに実験ができなくなります。とくに、万一特定の飼育室で感染事故が発生した際、部屋単位でガス滅菌する設備がなければ、部屋の床・壁や飼育ケージを置くための大型ラックなどを手作業で除菌することになり、感染拡大や作業者の健康被害が心配されます(後述)。


 A-2実験室バイオセーフティ指針(WHO 第3版)など、法令そのものではないが厚労省等から推奨されている基準や指針を満たしているか 
 これも、扱う病原体ごとに望ましい要件が記載されているほど状況依存的ですので、時間の都合上省略し、つぎに本題のA-3に入ります。
(つづく)


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